ポリマーとは?
一般的には単純なモノマーの重合体を指しますが、ゴム業界でポリマーと言ったら「生ゴム」や「合成ゴム」を指します。
特にゴムの配合では全配合部数に対してポリマーの占める割合が大きいので、基本的なゴム製品の性能はポリマーに左右されます。
ゴムポリマーの種類は?
- EPM、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエン共重合体)
- NBR (アクリロニトリル-ブタジエン共重合体)
- SBR (スチレン-ブタジエン共重合体)
- BR (ブタジエンゴム)
- NR (天然ゴム)
- IR (イソプレンゴム)
- IIR (イソブチレン-イソプレン共重合体)
- CR (クロロプレンゴム)
- CSM (クロロスルフォン化ポリエチレンゴム)
- ACM (アクリルゴム)
- ECO (エピクロルヒドリンゴム)
- FKM (フッ素ゴム)
- Q (シリコーンゴム)
- U (ウレタンゴム)
ざっとこれくらいあります。
また、これらの合成ゴムを販売している企業は国内だと三井化学、住友化学、JSR、日本ゼオン、AGC、東ソー、デンカ、昭和電工、大阪ソーダなど。
これらの中から用途や目的に適したポリマーを選び配合設計の起点としていきます。
ポリマーアロイとは?
例えば「EPDM+SBR」や「NR+BR」のように1つの配合に複数種類のポリマーを混ぜ合わせて使用することを「ポリマーアロイ」と言います。
また、異種ポリマーだけでなく同種ポリマーで違うグレードのポリマーを一緒に使用するのもアロイと言ったりもします。(EP57F+EP331など)
ポリマーの形状とは?
市販されているポリマーはものによって形状が異なります。
- タイトベール ⇒ 25~35kgで1塊になっているポリマー
- クラム ⇒ ポップコーンのような形状になっているポリマー
- フライアブル ⇒ クラムを押し固めてベール上にしたポリマー
- チップ ⇒ クラムよりも大きい消しゴムサイズくらいの大きさのポリマー
- 液状
複数種類の形状があるのは、ポリマー製造時の関係やミキサーで混練りする際のハンドリング、混練りのしやすさなどの理由からです。
例えばフライアブルはミキサー内で砕きやすくなっており、タイトベールと比較するとゴム混練り時の生残りなどがしにくくなります。
ただ、製造時の工程が増えるのでコストが上がります。
チップはショウプレンやスカイプレンなどのクロロプレンゴムやクロロスルフォン化ポリエチレンゴムなどで見られる形状です。
油展ポリマーとは?
EPDMによく見られますが、ポリマー内にプロセスオイルが含侵されているポリマーを油展ポリマーと言います。
ポリマー製造の際、そのポリマーのムーニー粘度(≒平均分子量)が高すぎると加工できなくなりますが、この高いムーニー粘度を下げるためにオイルを添加しています。
また、油展ポリマーを使用する際には配合を立てるときも注意しないといけません。
ゴムの配合では「ポリマーを100phrとししたときに他の配合材をどれくらい添加するか」が基本になりますが、例えば油展量が50phrのポリマーを使用する場合は、ポリマーを150phrに設定しなければポリマー分は100phrになりません。
また、配合中には自動的に50phr分のオイルが使用されていることになります。
これは個人の感想ですが、「非油展ポリマー+プロセスオイル50phr」と「油展量50phrのポリマー」をそれぞれ使って同じ配合を立てると、理論上は同等のものができるはずなのですが、何か物性とかが違う感じなんですよね。
正直、製造上オイルを加えるのは仕方ないのですが、あまり油展量が多すぎると配合の自由度が下がるので個人的にはあまり好きではありませんでした。
なお、JSRのEPですと油展オイルには高純度パラフィンオイルが使用されていますが、三井化学のEPTでは同社が販売するルーカントが使用されています。