ムーニー粘度とは?
ゴムという材料は学術的には「粘弾性体」と呼ばれる「粘性」と「弾性」の両方の性質を併せ持ったもの、極端に言えば「液体」と「固体」の両方の性質を持ったものになります。
特に架橋される前の未加硫ゴムは、配合によっては“「コールドフロー」と呼ばれる、静置した状態で溶けるように流れてしまう現象も見られます。
つまり粘性のある液体のような挙動を示すなら「粘度」という尺度があるわけで、このような未加硫ゴムの粘度を「ムーニー粘度」と呼んでいます。
ただ粘度とは言っていますが、実際の未加硫ゴムの多くは「弾力性のある固体」なので「未加硫ゴムの固さの指標」といった方が適切かもしれません。
どうやって測定するの?
ムーニー粘度の測定には専用の「ムーニー粘度測定機」というものがあります。
島津製作所や東洋精機、アルファテクノロジーなどから販売されています。
ムーニー粘度の表記は?
ムーニー粘度は未加硫ゴムのJISで規定されているほぼ唯一の項目ですが、以下のように表記します。
ML(1+4)100℃
これは「Lローターを使用して100℃の温度で1分間余熱した後に測定を開始し、4分後に測定終了したときの値」という意味になります。
これはムーニー粘度測定機の仕組みがわからないとよくわからないと思います。
ムーニー粘度の測定ではローターと呼ばれる治具を未加硫ゴムの試験片で挟み、装置の熱板がある台座にセットし、測定が始まると上側の熱板が下りてきてサンプルを覆います。
測定中、熱板に挟まれたサンプルは回転するローターによってせん断がかけられ、設定時間後(上の例だと4分後)のトルクの値がムーニー粘度の値となります。
ローターには2つのサイズ(LとS)があり、基本的にはLを使いますが、ムーニー粘度の高い場合はSを使い、その場合は MS(1+4)100℃ と記載します。
ムーニー粘度の単位は?
一般的な粘度では「Pa・s(パスカル秒)」や「cP(センチポアズ)」などの単位がありますが、ムーニー粘度には単位がありません。
正確に言えば上にも書いたように、ローターでせん断される際のトルク値の単位が当てはまるのかもしれませんが、ゴム業界では単位はなく数値のみになります。
また、数値は整数で表記します(測定値が53.6の場合は54)
値が100を超えてくるとけっこう硬く、50~70ぐらいだと比較的普通、40以下になってくるとだいぶ柔らかい、というようなイメージです。
ムーニー粘度は重要?
ムーニー粘度は加工性に影響してくるので、かなり重要です。
ゴムの配合を立てるときは硬度設定が第一にあると以前の記事で書きました。
しかし机上配合で硬度を合わせたとしても、そもそも混練り工程で練ることができなければ意味はありません。
なので、配合を立てるときはムーニー粘度がどれくらいになるかも想像しながら立てなければなりません。