Apple Supplier Listとは?
GAFAの一角、Apple社が毎年公開している、
「iPhoneやApple Watchなど、Apple社が製品を製造するにあたってどの国のどの会社から部品や素材を調達しているか」
を一覧にしたリストです。
Apple社がこのリストを公開しているのは、第三者が見て該社が世界的に社会的責任を果たしているかを調査・確認しやすくするためだそうです。
リストには世界各国の約200社が載っており、これがAppleの調達額の約98%を占めています。
(以下、リストのリンク)
このリストで何がわかる?
上にも書いたように「Apple社が製品製造のための部品や素材をどの会社から調達しているか」がわかります。
また、もう一歩踏み込むと、
- 海外も含めて真に技術力がある企業がどこになるかの参考になる(就活視点)
- その年で勢いのある企業の参考になる(材料屋視点)
というような部分も見えてきます。
近年では驚きや真新しさは失われつつありますが、毎年行われる発表イベントでは未だに多くの人の関心を惹き付けている、あのAppleです。
そのAppleの製品に部品や素材が採用されるということは、それだけ売り上げが見込めます。
そして技術者視点で言うと、昨今のスマホをはじめとするデジタルデバイスは5G、果ては6Gを見越して高機能化の勢いが凄まじく、部材メーカーには非常に厳しい材料規格値が要求されます。
ですので、それらを超えて採用されているということはこのリストに載っている会社の技術力は本物だろうとも言えます。
どんな会社が載っている?
リストを見ると、やはり名だたる大手メーカーが多いです。
日本だけで見ても誰もが知っていそうなところだと、
- 日立
- 京セラ
- パナソニック
- シャープ
- ソニー etc…
材料関連業界に身を置いているとよく目にする有名どころだと、
- AGC
- アルプスアルパイン
- フォスター電機
- フジクラ
- ヒロセ電機
- JDI(ジャパンディスプレイ)
- JXTG
- ミネベアミツミ
- 村田製作所
- 日亜
- ニデック(日本電産)
- 日亜化学
- NISSHA
- 日東電工
- NOK
- スミダコーポレーション
- 住友化学
- 住友電気工業
- TDK
- 帝国インキ etc…
私も仕事で相手にしたりされたりする会社がちらほらありますね。
また海外の会社でも、
- 3M
- ゴアテック
- ヘンケル
- インテル
- LGグループ(化学、ディスプレイ、イノテック)
- サムスングループ(電機、電子、SDI) etc…
とよく名前を聞くような会社もしっかり載っています。
リストの傾向は?
新型コロナの影響などで2020年分は出なかったのですが、今年分(2021年)を見ると中国企業や中国工場が圧倒的に多いです。
それだけ中国企業の技術力が急激に向上しているということでもあるのかもしれませんが、同時に中国は国家主導による極端な環境規制とエネルギー消費政策によって、急に工場が停止させられるなどの事態も発生しておりかなり不安定な状況です。
Appleに限りませんが、中国側から供給を受ける側からするといきなりモノが入手不可能になる可能性もあるので怖いものです。
実際、もうすでに中国ではエネルギー消費政策の影響による工場停止や減産による影響で金属シリコンの生産が滞り、その結果、シリコーン製品が生産できず大幅な値上げや供給停止などが起こっています。
ちなみにこのサプライヤーリストはほぼ毎年出ていますが、ここに載っている企業の約8割くらいはAppleのお得意様(常連企業)だったりします。
もちろん、毎年変わるAppleが要求する各種部品の品質を満たせなかったり、あるいはM&Aなどでリストから名前が外されることもあります。
ただ「Appleに採用される=売り上げが出る」というリターンも大きいので、各サプライヤーは必死についていこうとしているわけです。
私も過去にApple製品の対応している部署を横目で見ていた時期がありましたが、連日残業したり頻繁な打ち合わせがあったりで大変そうでしたね……
ともあれ、最終製品メーカーの要求が厳しくなるということは部品サプライヤーの要求も厳しくなるということで、私のような材料サプライヤーに来る話も厳しい話が多くなるので他人事ではないな、と改めて感じたのでした。