第11回: フィラーとは?

フィラーとは?

フィラーとは「充填材」のことで、ゴムでは主に下記のような白色の粉体が多く使われるので「白色フィラー」なんて言ったりもします。

ゴムで使われる主なフィラー

  • シリカ
  • 炭酸カルシウム
  • クレー
  • タルク
  • 水酸化アルミニウム(マグネシウム)
  • 酸化チタン
  • マイカ(雲母)

シリカ、クレー、タルクはカーボンブラックのように補強性もあるので、カーボンブラックの使えない白色ゴム配合ではこれらを使って補強していきます。

・シリカ

フィラーの中での補強性材料の筆頭。「ホワイトカーボン」と言われたりもする。
大きく含水シリカと無水シリカに分けられるが、ゴムでは含水シリカが使われるのがほとんど。
粒形の違いや表面処理の違いで様々なグレードあり。
カーボンと同じ感覚で多量に入れると予想以上に粘度や硬度が上がってしまうの注意。

・炭酸カルシウム

人工合成によって表面処理が施されたり、細かい粒形になっていたりする「軽質炭酸カルシウム(通称“軽炭”)」と天然の石灰石を機械的に粉砕して作られる「重質炭酸カルシウム(通称“重炭”)」がある。
安価なため、ゴム材料の配合単価を下げるときなどによく使われる。
ただし入れすぎると物性の低下が起こる。補強性はほぼ無し。

・クレー

主成分はケイ酸アルミニウム。
ハードクレー、ソフトクレー、焼成クレー、シラン改質クレーなどがある。
シリカほどではないが補強性もあり。
ただし入れすぎるとロールやミキサーなどの加工機に粘着しやすくなる。
ゴム中への分散性も悪いため入れすぎ注意。

・タルク

主成分はケイ酸マグネシウム。
高活性品、中活性品、低活性品(いずれも粒形の差)がある。
クレーと同程度の補強性があるが、クレーとは逆に金属離れ性があり、大量に配合するとロール作業中にバギー(ロールにゴムが巻き付かずに浮いてしまう)が起きやすくなる。
ゴム中への分散はしやすい。
価格はクレーよりも高め。

・水酸化アルミニウム(マグネシウム)

主に難燃材として使用されるフィラー。
難燃性能はハロゲン+三酸化アンチモンには及ばないが、今のところ法的な規制に影響が少ないため近年よく使用される。
難燃性の付与のため、ゴム中には7~80phr程度添加されることが多いが、炭カル同様に入れすぎると物性は低下する。

・酸化チタン

主に白色の顔料として使われる。
例えばクレーも白色フィラーだが、あれを入れて熱架橋すると出来上がりの色目が茶色っぽくなることもある。
それを嫌がるお客さん対策で酸化チタンを入れて無理矢理白くしたりするときなどに使う。

・マイカ(雲母)

粒子が扁平状になったフィラー。
主に気体透過性を下げるために使用される。
中に何かしらの気体を通すエアホースなどの配合で添加されるケースが多い。

この辺のフィラー類は白色配合だけでなく、黒色のカーボン配合でも当たり前のように使われるので、ゴム材料の開発や配合設計する際には使いこなせるように特徴を押さえておくといいと思います。

液体窒素(えきちー) のアバター

作者: 液体窒素(えきちー)

某化学系企業に勤める高分子系の材料開発屋。 大学での専攻は有機合成化学。卒業後、2012年から約7年、ゴム材料の品証、開発、製造などに従事。その後、粘着剤に関わり、現在は接着剤の開発を行っています。 副業はアズールレーンの指揮官。 趣味は文房具、宝石、シルバーアクセサリーなど

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