そざいの魅力ラボ-MOLp-とは?
日本の大手化学メーカー・三井化学がおこなっているオープンラボラトリー活動です。
三井化学の製品や技術のノウハウを駆使して、素材の持つ様々な新しい可能性などを一般向けにシェアしていこうという活動ですね。
そざいの魅力ラボ(公式HP)
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/molp/
“MOLpCafe2021”をDESIGNART TOKYO 2021で開催
以前、このブログの記事でも紹介したDESIGNART TOKYO 2021の展示の1つとして、そざいの魅力ラボがMOLpCafe2021という展示会を開催しました。
実は2021年7月にも個別で開催していたらしいのですが、緊急事態宣言などの影響で来れない人も多かったということで、今回のこのタイミングで出展したとのことです。

MOLpCafe2021(公式HP)
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/molp/molpcafe2021/
というわけで、いろいろと気になっていたのでここぞとばかりに見てきました。
まぁ一般向けだしな、と軽い気持ちで会場に行きましたが、
受付の人:「名刺ありますか?」
私 :「!? あ、いえ、持ってきてないです…」
受付の人:「でしたらこちらにお名前と会社名とメールアドレスの記載をお願いします」
私 :「!? あ、はい…」
ガチの企業展示会のノリじゃん!
実は前日、職場の同僚にMOLpCafeに行くと話したときに「名刺持っていったらいいんじゃないですか(笑)」と言われたのですが、まさか本当にあった方がよかったとは…
企画側も化学や材料業界の人がメインで来ることを見越してるってことですよね…
なお、平日にも関わらず私の後にもいいペースが来場者が来ていましたが、名刺を持ってきてる人はあまりいなかったような感じでした。デスヨネー
さて、中では様々な展示がされていましたが、個人的には以下の3つが面白かったです。
① RePLAYER フレコントートバッグ&ウォーレット


フレコン、というのは「フレキシブルコンテナ」の略で、主にペレット状(粒状)の原料を数百キロ単位で輸送するための袋型コンテナです。
製造業関係の方でないとあまり馴染みはないかもしれません。
フレコンの素材はEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)とポリエステルなのですが、輸送用のコンテナだけあって非常に強度があり防水性もバッチリです。
これは知らなかったのですが、フレコンは約15年程使用された後は廃棄されるそうです。
しかし、使用後15年経ってもその強度は新品のときの80~90%は残っているそうで、これが何か使えないかとリサイクルされたのが画像のフレコントートバッグとウォーレットだそうです。
実際に現場で使用されていたフレコンの再利用なので、元々書いてあった製品名や社名の一部分が載ったままというのが(笑)
日常使いで考えるとデザインはともかくとして、完全防水というのはいいですね。
なお、15年後にリサイクルするのを前提に考え、よりデザイン性の高い製品にするためにフレコン自体のデザインを変える、というようなことも挑戦しているそうです。
三井化学すごい。
②GoTouch Compounds(ご当地コンパウンド)



こちらは緑茶殻やもみ殻、コーヒー粕など特に何かに使用されることもなく廃棄されてしまうようなものをPP(ポリプロピレン)に混ぜることで新しい機能特性を持ったコンパウンドを作ろうとしたものです。
よくこんなのをPPに混ぜようと思いついたな…
どうやら混ぜ合わせることで、
- 混ぜたものの香りがするようになる
- 天然素材より耐腐食性や耐久性が高いものができる
- 〃 耐水性や熱特性が高く、乾燥収縮もしないものができる
- マテリアルリサイクルが可能
- 化石資源の使用量が削減可能
といった利点が出てくるそうです。
また、海水を真水にする際に取り除かれる過剰なミネラル分を混ぜると、陶器(セラミック)に近い肌触りが得られ、抗菌作用なども発現するとのことで、上の写真にちょっと写りこんでいるマウスのように表面素材などに活用できるとのこと。
実際、写真のようなマウスは引き合いの話も来ているそうで。
これは「NAGORI」というコンセプト素材だそうです。
GoTouchは混ぜるものによっては成型物に異物感が残るものもあるようですが、なかなか面白い発想だと思いました。
③ MATERIUM (マテリウム)




こちらはそれぞれの特長ある素材を一括りにまとめ、それぞれの素材を見て、触って比較検討できるようにした素材キット。
例えば「透明な素材」といっても「どの程度透明なのか?」「透明性以外の触り心地は?」など様々な要素があるわけですが、
「ならば透明な素材を同じ大きさ、形に成型したサンプルをひとまとめにして直感的に比較できるようにしよう」
としてできたのがこのマテリウムだそうです。
私のような技術屋になると、例えば「透明な材料」と言われると「全光透過率」「Haze値」といった項目の数値で判断し、その値から「これくらい透明だろう」と予測してしまい、実際に現物を見ると「思ったほど透明じゃないじゃん!」となりこともありますからね…
実際、この透明なマテリウムの1(TPX: ポリメチルペンテン)と10(PMMA: ポリメチルメタクリレート)を見ると、1の方が濁って見えるのですが、数値上の光線透過性は1の方が10より高いのです。
透明な素材以外にも、白い素材や黒い素材、果てはオノマトペを素材で表したものなんかもあり、バリエーションがすごい。
私も現在仕事で開発している製品をこんな感じで比較できるようなものをマネして作りたいと思いました。
というわけで、思っていた以上に本格的な内容のものもあり、個人的にはなかなか楽しめました。さすが三井化学。
今回は展示期間が5日間と短いのが残念ですね。
最後に、そざいの魅力ラボのHPで、フレコントートバッグやウォーレットなど、一部の製品が販売されているとのことです。
MOLp ONLINE STORE
https://molpec.com/original-products/
・その他
MOLpCafeは全く関係ありませんが、本日の昼食は表参道駅からすぐのインド料理レストラン「ゴングル」でマトンビリヤニをいただきました。

日本では「インド料理店≒インドカレー店」って感じなので、ビリヤニってあまり見ないんですよね。
非常に美味しかったのでまた行きたいです。


