第12回: オイル(可塑剤)とは?

オイル(可塑剤)とは?

カーボンブラックやフィラー(シリカ、クレー等)のような補強材とは逆に、ゴム材料の粘度や硬度を低下させるのがオイルや可塑剤と呼ばれる配合材です。

一口にオイルと言っても鉱物油、天然油、極性油など種類は多くあり、例えば鉱物油ならパラフィン系、ナフテン系、アロマ系、その中で粘度(分子量)違いで多くのグレードが存在します。


オイルで重要なのは?

様々ありますが、やはりポリマーとの相溶性が挙げられます。
極端な話、無極性ポリマーに極性油を混ぜようとして油と水のような関係になるので、まず混ざることはありません。
仮に混ざったとしても時間と共に材料の表面に染み出してくる「ブリード」と呼ばれる不具合が発生します。

この辺の相溶性はポリマーとオイルの溶解度パラメーター(SP値)で近いものを選択するというのが基本ですが、大体経験的に「これにはこれ」というのが決まっている感じはあります。
例えば以下のような組み合わせです。

  • EPDM    ⇒パラフィン or ナフテンオイル
  • 天然ゴム、SBR⇒アロマオイル
  • NBR     ⇒DOPやDOAなどの可塑剤

もちろん配合や製品用途によって、相溶する範囲で違うものを入れるパターンもたくさんあります。


可塑剤とは?

文字通り可塑化(柔らかくなる)効果のあるもの全般を指す材料です。
上記のオイルも可塑剤に含まれるわけですが、私はDOP(ジオクチルフタル酸エステル)やDOA(ジオクチルアジピン酸エステル)のように単一液状化合物の軟化剤を可塑剤と呼んだりしています。
(あくまで私がそう言ってるだけです)
悩んだら大体は「オイル」とか「アブラ」と言っておけば通じるのでそんなに意識して分けなくてもいいですね。


オイルの分子量の影響は?

オイルの分子量ですが、これは可塑化能力(ムーニー粘度の低下や硬度の低下させる度合い)と耐熱性や耐寒性といった部分に影響します。
オイルの分子量(粘度)が高いと可塑化能力は低下しますが、分子量が大きいので飛びにくくなる⇒耐熱性が上がる というような感じです。

ゴム中にオイルを配合する量が多くなる低硬度配合になると混練りの過程を一工夫したりしないといけなくなったり、あと単純にべたべたする液状物なので取り扱いが大変というのもあります。
しかし、補強材と同様に大抵のゴムには何かしらのオイルや可塑剤が入っているのでちゃんと押さえておきましょう。

液体窒素(えきちー) のアバター

作者: 液体窒素(えきちー)

某化学系企業に勤める高分子系の材料開発屋。 大学での専攻は有機合成化学。卒業後、2012年から約7年、ゴム材料の品証、開発、製造などに従事。その後、粘着剤に関わり、現在は接着剤の開発を行っています。 副業はアズールレーンの指揮官。 趣味は文房具、宝石、シルバーアクセサリーなど

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