ここ最近、国内タイヤメーカー大手のブリヂストンが「中期事業計画(2021-2023)に基づく多角化事業再編」ということで、防振ゴム事業と化成品ソリューション事業のそれぞれの売却を発表しました。
中期事業計画(2021-2023)に基づく多角化事業再編の進捗について 防振ゴム事業の譲渡
中期事業計画(2021-2023)に基づく多角化事業再編の進捗について 化成品ソリューション事業の譲渡
ブリヂストンと言えば皆さんご存知の通り、自動車のタイヤメーカーなわけですが、ゴム業界人から見るとあの会社は「天然ゴムを使用した総合ゴム製品メーカー」になります。
ゴム業界というのは暗黙的にタイヤ業界と非タイヤ業界に分けられますが、ブリヂストンはコア事業がタイヤなのでグッドイヤー、ミシュラン、横浜タイヤと共にタイヤ業界の方に入ります。
しかしながら、同時にブリヂストンは化工品(ゴムホース、防振ゴム、免振ゴムなどの非タイヤ系ゴム製品)でもトップシェアレベルを持つ天然ゴム製品総合メーカーです。
そんな彼らが防振ゴムや自動車用シートパッドから手を引くというのは元ゴム業界人の私からしても「まじか…」という感じです。
ブリヂストン、凄まじいリストラ、滲む危機感…8千人転籍、工場4割を閉鎖・売却
タイヤ国内最大手のブリヂストンが大規模な人員削減に踏み切る。防振ゴム事業を中国企業に、自動車部品などの化成品ソリューション事業を投資ファンドに売却する。国内外で22カ所の事業所を譲渡し、従業員約8000人に転籍を求める。国内では全体の従業員の1割弱、3000人弱拠点の2割強にあたる11カ所が移ることになる。
Business Journalより
上の記事にもありますが、なかなかの人数です。
多角化事業部の防振ゴムと化成品ソリューションがこうなると、将来的にはベルト、ホース、クローラーなど、他の化工品も危ういのではないかという感じがします。
仕方ないことですが、そもそもブリヂストンは収益をタイヤの一本打法に頼りすぎているんですよね。
それは彼らもわかっているはずで、だから割と以前からタイヤで収益が出せているうちに「モノ売りからサービス売りへ」とタイヤの販売だけに頼らない仕組みを作ろうといろいろ動いていたわけですが、彼らの思っていた以上に他のアジアの国(中国や韓国)の台頭が早かったという感じでしょうか。
日本の大企業あるあるの「上層部がコロコロ変わって方針がぶれる」「表向きはチャレンジ精神でうんたら言ってるけど、実際は保守的で動きが遅い」なんてもの影響しているかもしれません。
去年ぐらいからゴム・エラストマー業界から老舗大手が手を引き始めていますが、エンドユーザーたるブリヂストンもこんな感じだと本格的に業界全体の先行きが怖いですね。
4月からゴム業界に身を置く新卒の方もいらっしゃると思いますが、業界の将来的な部分はよく見ておいた方がいいと個人的には思います。