国内大手化学企業・三菱ケミカルから以下のようなニュースリリースがありました。
意匠性・耐久性に優れた、植物由来のバイオエンプラ「DURABIO™(デュラビオ™)」がパイロットのボールペンに採用
三菱ケミカル株式会社(本社:東京都千代田区、社長:和賀 昌之、以下「当社」)のバイオエンプラ「DURABIO™(デュラビオ™)」が、株式会社パイロットコーポレーション(本社:東京都中央区、社長:伊藤 秀 、以下「パイロット社」)のボールペン「アクロボールTシリーズ バイオマスプラスチック」「フリクションボールノック05 バイオマスプラスチック」の本体部品(後軸)に採用されたことをお知らせいたします。
三菱ケミカル ニュースより

三菱ケミカルのDURABIO(デュラビオ)という製品がパイロットのアクロボールとフリクションに採用された、というものです。
2022年2月3日からノベルティ向け商品のみの取り扱いで販売されているようです。
そんなDURABIOとはどんなものなのか、三菱ケミカルの商品ページを見てみます。
DURABIO™(デュラビオ™)は、植物由来のイソソルバイド(イソソルビド)が主原料のバイオエンジニアリングプラスチックで、ビスフェノールA(以後BPAと略す)を原料とする従来のポリカーボネート樹脂(以後PC樹脂と略す)と比較し、高い透明性、優れた光学特性などの特徴があるとともに、耐傷付き性に優れ、PC樹脂に匹敵する耐衝撃特性を示します。
三菱ケミカル DURABIOのページより
どうやらポリカーボネートやアクリルあたりがライバルになるような、糖由来の透明性プラスチック樹脂のようです。

グルコースからソルビトールを生成した後、再度環を巻くようにしてイソソルバイド(ヘキサヒドロフロフラン)を作り、これを自フェニルカーボネイト+αと重合して作られているそうです。
出発原料はグルコースなのでサトウキビやトウモロコシといった植物由来からいけるのでバイオマス、ということですね。
しかしDURABIOの構造自体はがっちりした複素環化合物になっているので生分解性はない、という感じでしょうか。

よく見るタイプの性能評価グラフ。
「植物由来(BPAフリー)」の項目いる…?
光学特性や硬さならアクリル、耐熱性や丈夫さならポリカ、と個々で見れば若干負ける部分もありますが、全体的にはアクリルとポリカのいいとこ取りをしたバランスの良い樹脂に見えます。
このグラフの項目にはありませんが、コスト的にはどうなんでしょうか?
アクリルやポリカに比べたら高そうな感じがしますが、このDURABIOが使用されているパイロットのアクロボールバイオマスプラスチックが1本150円と、他の一般のアクロボールと同価格なのでそんなにでもないのかもしれません。
余談ですが、現在世に出ている透明な汎用性の高い樹脂と言えば圧倒的にアクリルとポリカが多いわけですが、こういうのもあります。
以前にも何かの記事で出したかもしれませんが、JSRのライバル企業・日本ゼオンが出すZEONEX(ゼオネックス)とZEONOR(ゼオノア)です。
構造までは出していませんが、シクロオレフィンと言っているので脂肪族環状骨格がメインになっているのでしょう。
アクリル並みの透明性、低比重、結晶性の高さからTg(ガラス転移温度)も120℃~160℃と高く耐熱性がある、などの特性を持った材料です。
こちらはもっと工業用途・医療用途での実績が多いみたいですが、透明性の高い樹脂を探しているなら候補にしてもいいかもしれません。
ともあれ、文房具好きとしてはDURABIOの使われたアクロボール、1本は欲しいです。