第13回高機能素材Weekに行ってきました!

長らく放置してしまいましたが久々に更新します。
し、仕事が忙しくて……(大嘘

さておき、年に2回開催される材料系技術者にとってはお馴染みの高機能素材Weekですが、去年に引き続き今年も行ってきました。

未だコロナ禍とはいえ、1年あればいつものあの会社やあの会社とかあの会社なんかが何か新しい材料を出したりしてないかな~とか、全く知らなかったところが面白い材料や技術を出したりしてないかな~とか、そんな期待が出てくるものです。

まぁ結論から言うと、私の仕事の分野関連ではそんなに真新しいことやものはなかったわけですが(-ω-)

ただ、未だに “サステナビリティ” や “環境対応” なんてのは活発でして、高機能素材Weekの中の「サステナブルマテリアル展(サスマ)」はなかなか賑わっておりました。

サスマの方が普段の生活に身近な内容を取り扱っている展示物が多く見ていて楽しかったりするので、私自身も真の目的はこっちだったりします(

今回はそんな中で見てきたものの一部をご紹介します。


(株)タイヨー 3R(スリーアール)プロジェクト

(株)タイヨーは元々はオリジナルのノベルティーを作製・販売している会社とのこと。

ここでは3Rプロジェクトという、本来廃棄される資源を合成樹脂に混ぜ込み特徴ある素材を作っているようです。

その「本来廃棄される資源」とは何かというと、カビが生えたりしてダメになってしまったお茶の葉やコーヒー豆、木くずや竹といったような自然由来の材料です。
これをPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)と混ぜることで、お茶やコーヒーの香りがする樹脂や、見た目に特徴的な模様が付くような材料になるとのこと。

配合比率としてはPE/PP:各種残渣(廃棄材料)=80:20と残渣の混入量が少ない気がしますが、それでも現物の匂いをクンカクンカさせてもらうとなかなかお茶やコーヒーの香りがしましたね。

理論上は60%ぐらいまでは合成樹脂に混ぜられるとのことですが、コースターなどに成型して使おうとすると強度の問題や、水滴で成分が溶け出してしまう問題が出てしまうようで20%にしているとのことでした。

よくよく思い出してみれば三井化学のMOLpでも似たようなものがありましたし、今年も出展していましたがRice resin(古米をPP樹脂に混ぜ込んで成型した材料)なんかもありましたね。
まさに最近の流行りだな、と思いました。
ちなみに、コースターだけでなくフライングディスク(よく犬に取ってこさせるあの円盤)や定規、ボールペンなどにも展開しているようです


ツキオカフィルム製薬(株) ワンダーエコ

ツキオカフィルム製薬(株)は主に食用のフィルムや食用金箔などを作っている会社とのこと。

ここで紹介していたのはいくつかありましたが、画像は多糖類を素材として作られた可食フィルム。
例えばコンビニやスーパーなどで売られているお弁当のスパゲッティで麺とソース分けるためフィルムで仕切られている場合があります。
レンチンしていざ食べようとしたときにフィルムを上手く抜き取って麺の上にソースを乗せたりするわけですが、これが地味に手間です。フィルムにソース残ったりしてお腹減ってるとイライラもしてしまうでしょう。

このフィルムはそれを解決するもので、常温ではフィルムとして仕切りの役割を果たしますが、レンチンするとフィルムは溶けてしまうので、食べるときにわざわざ取り除く必要がなくなるというやつです。
コンビニ食品での採用実績などもあるようで、たぶん知らず知らずのうちに食べていたかもしれませんね。

素材が多糖類だと常温であってもソースの水分で溶けたりしないの? とか思わなくもないですが、フィルムにできるレベルの分子量なら問題ないんでしょうね。
実際展示物は3日ほど置かれたものがありましたが、見事にソースと麺を分け続けていました。
こういうユーザーのちょっとした手間をなくしてくれるアイテムって重要ですよね。


アース製作所(株) ARパウダー01

アース製作所(株)は主に⽔素発⽣装置の研究開発や施工管理などをおこなっている会社とのこと。

Hydrogen Technology(株)という水素生成をおこない、この水素を販売している会社があるのですが、このような水素生成をする際に発生する強アルカリ液をアース製作所が引き取り、これを中和などの工程を経て生成したARパウダー01というフィラーの紹介をしていました。

ARパウダー01の成分としては酸化アルミニウムや水酸化アルミニウム、炭酸ナトリウムなどなどの混合物のようです。
水酸化アルミニウムなんかは材料業界では難燃剤としてお馴染みですが、このARパウダー01もプラスチックへの難燃性付与や、建材の外壁材への不燃用途なんかに使われるようです。
本来であれば産廃として捨てるしかない強アルカリ液をフィラーとして使うことができる点が環境配慮やサステナビリティに繋がっている感じですね。

さらにこのARパウダーをベースにあれこれ配合することで、入浴剤や化粧品といったものにも展開できるようです。
どうやらアルミナ整肌成分として効くようで。
写真が試供品的な感じで貰えた入浴剤です。あとで使ってみよう。


ブックオフコーポレーション(株) CDプラ

「本を売るならブックオフ」でお馴染みのブックオフです。
最近は電子書籍や音楽配信サブスクなど時代の流れもあって、あまりCMなんかも見なくなりましたね。

正直、今回の出展の中で一番驚きました。
皆さんご存知の通り、ブックオフは本やCDの買い取り、古本・古CDの販売をおこっている、いわゆる “BtoC” の企業です。
そんなブックオフが “BtoB” 主体の企業が集まる高機能素材Weekにいるのか?

どうやらブックオフはここ最近、買い取ったはいいけど一定期間内に販売しきれずに処分されるCDやそもそも買い取り時に値段がつかないけど引き取ったCDなどを素材ごとに分別して破砕し、素材としてリペレットしているとのこと。
このペレット化された材料を材料メーカーに販売して使用してもらえないかということで、今回高機能素材Weekに初出店したとのことでした。

破砕はブックオフのパートナー企業がおこなっているそうです。
素材の種類としては透明なPPやPS(ポリスチレン)、PC(ポリカーボネート)、グレーのPPと、CDやDVDそのもの+それらの入っていたケースに使われているものになります。

ブックオフでは約2400万枚/YのCDやDVDを買い取っているらしいのですうが、そのうち約1700トン/Yの廃棄CDがコンスタントに発生するそうで。
それを聞くとそりゃ何か有効活用したくなるってものですね。

さらに、このCDプラを使って多摩美術大学の学生さんによってデザインされたスマホスタンドや眼鏡スタンドなども製品化しているようです。

思いの他使いやすそうです。
真ん中に穴が開いていてCDを折り曲げたかのようなデザインがシンプルながらわかりやすくていいですね。

ブックオフも知らない間にこういうことをやり始めていたんですね。


というわけでこんな感じでした。

今日は3日目の最終日ということもありなかなか人が多くて疲れましたが、やはりいろいろなものが見れるので楽しいですね。

液体窒素(えきちー) のアバター

作者: 液体窒素(えきちー)

某化学系企業に勤める高分子系の材料開発屋。 大学での専攻は有機合成化学。卒業後、2012年から約7年、ゴム材料の品証、開発、製造などに従事。その後、粘着剤に関わり、現在は接着剤の開発を行っています。 副業はアズールレーンの指揮官。 趣味は文房具、宝石、シルバーアクセサリーなど

コメントを残す