油展ポリマーとは?
油展ポリマーとは、ポリマーにすでにオイルが含侵されているものになります。ほぼEPDMにしか見られません。
三井化学のEPTの品番
⇒末尾に “E” が付いています。
ENEOSマテリアル(旧JSR)のEP品番
⇒末尾に “E” が付いています。(付いていないものもあります)
クムホのKEP品番
⇒末尾に “E” や “N” が付いています。(付いていないものもあります)
何故オイルが含侵されているの?
ポリマーのムーニー粘度を下げ、製造メーカーがポリマーを仕上げられるようにするためです。
EPDMはグレードによってはポリマーの分子量が数十万~数百万とかなり大きくなり、オイルを含侵させないとポリマーの乾燥工程後にガチガチになってしまいます。
どんなオイルが使われているの?
品番カタログには具体的なオイル種類は記載されていませんが、一般的にはパラフィン系オイルが使用されています。
三井化学のEPTの品番
⇒ルーカントシリーズ
ENEOSマテリアル(旧JSR)のEP品番
⇒ダイアナプロセスオイルPWシリーズ
※あくまで筆者がゴムに携わっていたときの情報です。
変わっている可能性もあるため注意してください。
油展ポリマーで配合を組むときの注意点は?
油展ポリマーに含侵されているオイル量はグレードによって決まっており、各メーカーのカタログに記載されています。
例えばENEOSマテリアル(旧JSR)のEP96なら50phr、EP98なら75phr……など。
これはポリマー分100phrに対して50phrや75phrのオイルが含まれているという意味になります。
ゴムの配合を組む際には、このカタログに記載された油展量が配合計算にも乗ってきます。
つまり、例えばEP96を単体使用して配合を組もうとすると、50phrのオイル量が乗ってくるため、EP96は100phrではなく、150phrと設定しなければなりません。
(EP96を100phrにすると、内訳はポリマー分は66.7phr、オイル分が33.3phrとなってしまいます)
オイルはゴムの配合中ではムーニー粘度の低下や、加硫後の硬度の低下になどに寄与しますが、この油展オイルも同様の効果があります。
しかし、個人的な経験では粘度低下や硬度低下に対する寄与は、外添オイルよりも悪い感じがあります。
油展ポリマーは分子量の高さ(=引張物性の良好さ)が魅力ではありますが、配合を組む際には使いにくさもあるため、非油展ポリマーとの組み合わせで使用するのが良いかと思います。