2021年12月8日~10日に幕張メッセで開催された「高機能素材Week」に行ってきました。
技術屋・材料屋の人なら大抵1回は行ったことあるのではないでしょうか。
私も何回目かは覚えていませんが、前回行ったのがコロナ禍になる前の2019年12月だったので、約2年ぶりの参加です。

今回特徴的だったのは?
接着接合EXPO、サステナブルマテリアル展、セラミックジャパンなどいろいろ見てきましたが、全体的には
- 生分解性アイテムが多い
- 非石油系原料(植物由来等)材料が多い
- SDGs(持続可能な開発目標)を意識しまくり
という感じでしょうか。
まさに現在の世界のトレンドにどこもかしこも乗っかってきているという感じです。
実際、多くの化学メーカー、特に大手は脱石油系を目指して別分野への参入を目指しています。
完全になくなることはないだろうけど、今後はどんどん下火になっていくであろう石化系分野。
日本でもJSRはエラストマー事業を手放し、住友化学はEPDMの生産を辞め、ENEOSだって自然エネルギー関連に力を入れる。
三井化学、日東電工、JSR、AGCなどは自社技術の強みを活かして医療・医薬分野へ続々と参入していこうとしている時代です。
これは時代の流れなので仕方ないわけですが、ちょっと寂しい感じもありますね。
さておき。
以下に今回見てきた内容の一部を載せていきます。
バイオマスレジンホールディングス「ライスレジン」


バイオマスレジンホールディングスのHPより
かなり賑わっていたブースです。
PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)に非食用のお米を添加して作られる「ライスレジン」を紹介していました。
添加量は調節可能で、最大で70%までお米を含有させることができるそうです。


用途としては赤ちゃん用の玩具や歯ブラシ、レジ袋など、普段PPやPEが使用されている部分の置き換えのようです。
ブースで名刺と交換でサンプルとして配られていたライスレジン製のプレート、フォーク、スプーンの3点セットをもらってきました。
こちらは PP:お米=80:20 だそうです。
実用的な樹脂の強度などを考えるとあまりお米比率は上げられないのかもしません。

様々な企業が関わっていますね。
なお、お米が入っているから勘違いされやすいようですが、ベース樹脂はPPやPEなので生分解性でありません。
生分解性に関しては「ネオリザ」という別の銘柄があるようですが、そちらはこれから情報を出していくとのこと。
ちょっと気になります。
バイオマスレジンホールディングス
https://www.biomass-resin.com/
設立は2020年3月とのことでとても新しい会社でした。
JRS「セルロースファイバー」


JRS社製のセルロースファイバー。
セルロースファイバーと言えば本展示会でもあちこちで見かけた「CNF(セルロースナノファイバー)」が有名ですが、こちらは「CMF(セルロースマイクロファイバー)」になります。
通常、CNFは粒形が小さすぎて自己凝集が起こるので水分散体(水溶液)という形で販売されることが多くなります。
しかしこの場合、水ベースなので溶剤にはよく溶ける有機材料とは相性が悪く、使いたくても使えないという難点も。
その点、こちらのCMFはCNFと比べて粒形が大きい(数十μm)のでタルクやクレーといった白色フィラー感覚(ドライな粉体)で添加することができます。
用途としてはカタログでもあるように、PPやPEなどの樹脂に20wt%前後を練りこみ、機械強度の向上、成型安定性(寸法安定性)の向上、軽量化、といったよくある補強材としての効果を見込みます。
粉体で扱えるのは嬉しいのですが、強度面などではCNFに比べてどの程度変わってくるのか気になります。
(CNFより落ちそうな気がしますが)
ちなみに、JRS社というのはドイツに本拠地を置く海外企業です。
正式名称は J. Rettenmaier & Sohne GmbH でレッテンマイヤー社と呼ばれます。
製造拠点はヨーロッパ、アメリカ、中国が主で、日本ではレッテンマイヤージャパン株式会社という販売拠点があります。
サンプルや製品を購入する場合はここを通す感じですね。
レッテンマイヤージャパン株式会社
https://www.jrsj.jp/jrs_jp/
JRSはけっこう大きい会社で12事業あり、このセルロースファイバーを扱っているインダストリー部門の他に、医薬品関連、食品関連、化粧品関連etc…なども扱っています。
花王「LUNAFLEX(ルナフレックス)」

花王から販売されているCNF複合材料「ルナフレックス」
先にも書いた様に、CNFはとにかく“扱いにくさ”に課題があるわけですが、それを解決したのがこちらです。
花王独自の技術により改質されたCNFを予めアクリルやエポキシなどの樹脂に均一分散させた「改質CNF均質分散複合樹脂」になります。

オーダーメイド品です。
なのでユーザーの要望に合わせて、添加したい樹脂、CNFの添加量、CNFの繊維長などカスタマイズしてくれるそうです。
これはちょっと仕事でも使えそうなのでサンプルが欲しいですね…
オーダーメイドなので価格面がこわいですが…
花王 ルナフレックス
https://chemical.kao.com/jp/lunaflex/
セメダイン「スーパーXナチュラ」

今の私にとっては競合相手になるセメダイン社もSDGsを意識したアイテムを出しています。

バイオマス原料由来のスーパーXってことで、おそらく性能は市販されているスーパーXと同じような感じでしょう。
名刺交換でサンプルくれるとあったので欲しかったのですが「競合ってバレたら塩対応されるんだろうな…(´・ω・`)」と思い諦めました。
なんなら「最近こういう案件が来て困ってるんですけど」と接着相談もしたかったのですが、やっぱり競合ってバレたら(以下略)
大阪有機化学工業「バイオマスアクリレート」

アクリレート関連ではちょいちょいお世話になっている大阪有機さん。
こちらも松脂やトウモロコシを由来にしたバイオマス原料でアクリレート作ってますアピールしてました。
分子内オレフィンを持ったアクリレート、ちょっと使ってみたい。
他にもいろいろありますが、キリがないのでこれくらいで。
高機能素材Week自体は毎年大阪と東京で年2回開催されているので、仕事が煮詰まったりしたときに気晴らしで覗きに行くのはアリです。
ちなみにこの展示会では常連のキーエンスなんかは、ブースの周りで美人のお姉さんが甘い声で袋を配っているので、ちょっとデレデレしているおじさんたちを眺めるのも面白いですよ(